こどもセンターのオヤジが誇らしげに掲げていた言葉について考える

こどもセンター。通称こどセン。

駄菓子屋とゲーセンが合体したようなお店で、私が中学生だった時の溜まり場。

民家の1階部分をリノベーションして作られているため、看板らしきものは全く存在しない。

さらに外壁は、無理矢理拡張するために使われたであろう小汚いトタンが目立ち、入り口も狭く真っ暗。

なので何も知らない人からすれば恐怖すら覚えるレベル。
「入りづらい」というよりも「絶対に近寄りたくない」という雰囲気。

賭場や違法風俗や薬物売買に使われる場所だと言われても、何らおかしくはないような場所なのである。

 

この『こどセン』を一言で表すならば、治外法権。

14〜15歳のクソガキですら、

 

「おいおい。こんなことして大丈夫なのかよ?」

 

などと心配になるような商売がまかり通っている場所なのだ。

 

ゲームセンターで見られるゲーム筐体とは別に、小さなブラウン管テレビが10台ほど並べられていて。

そこにファミコン、スーパーファミコン、PCエンジンなどの家庭用ゲーム機が繋がれているのだが。

ソフトの貸し出しは、もちろん有料。
価格は普通のソフトが1時間200円で、新作だと300円。延長は30分100円。

 

完全なる営利目的。
完全なる商業利用。

 

もはや清々しいくらいの違法っぷり。

 

そこへ来て『ドラクエ』や『FF』『ロマサガ』といった超ビッグタイトルに関しては、なんと【1時間500円】というハイソサエティー&ブルジョワ&セレブリティープライス。

「そんなもんクリアするまでやるなら買ったほうが安いじゃねーか」という声が上がるのは百も承知なのだが。

これはこれで、需要はある。
こんな場所に通うような奴らには、特に。

少し前にメルカリで現金が売買されているとうニュースを見たときに、この高額レンタルソフトのことを思い出した。

人間というのは、色々な事情がある生き物なのだ。

 

宮沢りえの写真集『Santa Fe』が15分1500円で貸し出されたこともあった。

この時ばかりは「このオヤジ、なんて野郎だ!ガキ相手にここまでアコギな商売しやがるのか!」と、いよいよ憤慨したものだが。

背に腹は変えられぬということで、友人たちみんなでお金を出し合い、咆哮した。

 

他にも流行り物を仕入れて来ては、よく分からない価格をつけて貸し出していたが。

幸いにもSanta Fe以外には心を動かされなかった。
やはり宮沢りえは、別格であり偉大なのである。

 

そんなこどセンには一つの額縁が飾られている。
そこに書かれているのは、

 

【正しくは、楽しい】

 

という文言。

 

 

 

お前が言うな。

 

お前が言うな中の、お前が言うな。

 

これぞまさに「お前が言うな」の極み。

 

一体どのツラ下げてこの額縁を飾っているのか。
響かないこと山の如し。

もしオヤジ自身で書いたものだとしたならば、なおさら。
どんな気持ちで、誰に向けて書いたのか。
相場の百万倍の「お前が言うな」を投げつけたい。

 

でも思い返してみると、”オヤジなりの正義”というものが今になって色々と見えて来る。

あの頃の俺たちには分からなかったこと。

大人になってようやく・・・

 

みたいな話に持って行きたいところだが、まったくもって浮かばない。

あの店に正義など皆無。
本当に何も無い。

こどセン絡みの記憶が入った箱を全部ひっくり返しても、正義のカケラも出てこない。

出てくるのは薄暗くジトッとした思い出のみ。
今でいう3蜜の最高峰。

 

 

希代のワル。

故・梅宮辰夫さんが、愛娘の交際相手であった羽賀研二氏を評した言葉であるが。
私の中では、こどセンのオヤジもこれに近いのではないかと思っている。

クソガキ相手にここまで健全から掛け離れた商売が出来る神経。
同じ商売人として、心の底から理解に苦しむばかりである。

 

でも。

 

だからこそ、面白かった。
だからこそ、思い出深い。
だからこそ、今でも笑って話ができる。
だからこそ、楽しかった思い出として残っている。

同級生男と飲んだときに、こどセンの話題は鉄板だ。
必ず何かしらのエピソードがある。

通っていた連中は言うまでもなく、通っていなかった連中でも”そっち側”なりの思い出がある。

それだけ強烈な印象を残した場所だったのだ。

 

今、自分が店やブログをやる立場になって、その凄さを身に染みて感じている。

手段や方法はどうであれ、人の心に『楽しかった思い出』を深く刻むことの凄さ。偉大さ。

 

そう考えると、

「あのオヤジ。凄かったんだなぁ」

という気持ちになってもよさそうなものだが。

全くと言っていいほど、ならない。
それを差し引いても”希代の悪”が勝っている。

 

これを書いていて思い出したのだが。
当時こんな噂が流れた。

 

「こどセンのオヤジ、東大らしいぜ」

 

この真偽は全く定かではなかったが、どういうわけか納得できたのだ。

そして今それを思い出し、当時よりも強く納得している自分がいる。
そしてますます「あいつ、やっぱりとんでもねえオヤジだったな」と。

 

 

【正しくは、楽しい】

もしかしたらこれは、オヤジ自身に向けた言葉だったのかもしれない。

こどセンとは比べ物にならないほどの悪事に手を染めていた頃の自分と決別するために。

 

なのであの店が、オヤジなりの精一杯の正義の結晶。

そう思うことにしよう。

 

おわり。

 

てか、まだ生きてんのかなー。
生きてたら笑うなー。

 

こちらがSanta Feエピソード。

宮沢りえの「Santa Fe」をどうにかしてでも見たい!と思っていた、中学生の青臭い物語。

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