3000文字チャレンジ

『ごはんとみかんと、友情と』3000文字チャレンジ第7弾

「暇だから、しりとりでもやる?」

 

「いいよ」

 

「じゃあ、、、しりとり」

 

「えっと、、、リンパ腺!」

 

「はい、負けー」

 

「えっ・・・?あれ?なんで?なんで??」

 

「『ん』がついたじゃん」

 

「あ、、、あーーー。そっか!しまった!忘れてたよ!」

 

「忘れてたって、ルールそれしかないよ」

 

「いやー、ごめん。えっとね、、、油断したわ。完全に油断してた」

 

「油断とか無いけどなぁ」

 

「ちょっと!もう一回!」

 

「いや、そりゃやるけど。俺もこんなの想像してなかったから」

 

「次はちゃんと」

 

「てか、リンパ腺ってなんなんだよ。よりによって。もっと言葉は色々あるからね」

 

「そう、、、だよね。オッケー!」

 

「じゃあ行くよ、、、しりとり!」

 

「えっと、、、えっと、、、リンパ腺!」

 

「はい、負けー」

 

「え!?なんで??あれ?また??」

 

「うん、、、」

 

「ついちゃってた?『ん』がついちゃってた?」

 

「いや、つきまくってるよ。てか、さっきと同じだし」

「あれー?おかしいな・・・なんでだろう」

 

「わざとやってない?」

 

「いやいやいや!違う違う!そんなことないって!」

 

「本当に?結構まじめにやって欲しいんだけどなー」

 

「いや、、、そうだね。ごめん」

 

「だって、リンパ腺しか言ってないんだよ?」

 

「うん!分かってる。ちゃんとやるわ」

 

「頼むよ、本当にさあ」

 

「あ、そうしたら!次、変わらない?」

 

「え?」

 

「攻守交代」

 

「あー、いいよ。それならさっきよりは続くかもね」

 

「そうそう、ごめんね。じゃあ行くよ、、、しりとり!」

 

「りんご!」

 

「ごはん!」

 

「はい、負けー」

 

「あれ!?なんで!?」

 

「なんでって、、、また」

 

「うん。でも、、、ごはん美味しいよ!」

 

「いや、美味しいのは分かるんだけどさ。『ん』がついちゃってるから」

 

「お、おおー。そうだよね。しまったーー」

 

「気付かなかった?」

 

「いや、なんか、自然に出ちゃったというか。あの、、、ごはんの美味しい部分にばっかり気がいってたよ」

 

「ふうん」

 

「あ!そうだ!お願いがあるんだけど」

 

「なに?」

 

「途中でセーブしていい?」

 

「セーブ?」

 

「そう。もし負けても、セーブしておけばその場面から始められるやつ」

 

「あー、ドラクエとかFFみたいなことね」

 

「そう!今のゲームって、セーブが付きものだからさ」

 

「別にいいけど、、、しりとりにセーブ機能なんて聞いたこと無いよ」

 

「そしたらセーブする時には、セーブ!って言うね」

 

「はいはい」

 

「じゃあまた俺から行くよ、、、しりとり!」

 

「りんご!」

 

「セーブ!!」

 

「え?もう??早くない?」

 

「うん、一応ね。さっきここでやられたし」

 

「まあそうだなー。慎重になってもいいとこかもね」

 

「えーーーっと、、、、、ごはん!」

 

「はい、負けー」

 

「ああ!まただ!!」

 

「またかよ。。。」

 

「えーなんでだろう、、、?いやー、まいったね。やられっぱなしだわ。あははー」

 

「やられっぱなしというか、自分が悪いというか。とりあえずセーブしてて良かったけど」

 

「そうだ!セーブしてた!」

 

「ロードすれば?」

 

「うん、するわ。ロード!!」

 

「はい。さっきの場面に戻りました。どうぞ」

 

「えーっと。ご、、、ご、、、ごは、、、」

 

「ちょっと!待って待って!」

 

「え!?」

 

「またごはんって言おうとしてない?」

 

「あ、してた。なんで分かったの?」

 

「だって、もう言いかけてたもん」

 

「あぶねー。止めてくれてありがとう」

 

「他の言葉もたくさんあるからね」

 

「それじゃあ、、、、、ごはん!」

 

「はい、負けー」

 

「あー!もう!なんでだろう!まただー」

 

「よし、もうやめよう」

 

「えー?なんで?」

 

「だって、絶対わざとだもん」

 

「何が?」

 

「わざと負けてる」

 

「そんなこと無いよ!本当に!なんか分からないけど、こうなっちゃうんだよ」

 

「こうなっちゃうってなんなの?なんか自分は悪くないみたいに言ってるけど」

 

「うん、、、そうだね。ごめん」

 

「だって、全部一撃だよ?リンパ腺とかごはんしか言ってないし。こんなしりとり、あり得ないよ」

 

「うーーん。やっぱそうだよなー。自分でもわかってるんだけど」

 

「てかさあ、、、」

 

「え?」

 

「さっきから気になってたんだけど、その帽子なんなの?」

 

「ああこれ?さっき拾った」

 

「拾ったの?」

 

「うん。なんかカッコよかったから、とりあえずかぶってみた」

 

「そうなんだよ。カッコいいんだよね。俺も思ってた。ちょっとかぶらせて?」

 

「いいよ」

 

「どう?似合う?」

 

「うん、悪くないかも。欲しかったらあげるよ」

 

「お!やった!サンキュー。じゃあお礼にもう一回、しりとりをやってあげよう」

 

「本当に!?ありがとう!次はがんばる!」

 

「よし。そしたら、、、とりあえずロードだな」

 

「うん!続きから。ロード!!!」

 

「はい。あの場面に来ました。『ご』からの続きです。ごはん以外でがんばって下さい」

 

「えーっと、、、、、ごみ!」

 

「おおお!出た!!」

 

「おおお!!やった!!」

 

「やったなー!!」

 

「よかったー!本当によかったー!よかったよーーー!」

 

「いやー、やっとだな。じゃあ次は俺だね」

 

「一応、セーブしておいた方がいいんじゃない?」

 

「そうだね。せっかくだから、俺もセーブ機能使ってみよう。セーブ!!」

 

「セーブされました。『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「あれ?負けた」

 

「やったー!俺の勝ちー!!」

 

「ちょっと待って。そんなわけないんだけど」

 

「またまたー。悔しがっちゃって。いいよ、ロードして」

 

「じゃあ、ロード!!!」

 

「では『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ちょっと待って!!」

 

「ん?」

 

「みかんしか出てこない!」

 

「うん、そうだろうね」

 

「え??」

 

「だっておれも、ごはんしか出なかったから。ごはんってか、負ける言葉が自然に口から出てたから」

 

「今は?」

 

「多分大丈夫」

 

「え?おれは?」

 

「最初からやってみる?」

 

「うん」

 

「しりとり」

 

「リンパ腺!」

 

「はい、負けー」

 

「もう一回!」

 

「しりとり」

 

「リンパ腺!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「ロード!!!」

 

「『み』からどうぞ」

 

「みかん!!!」

 

「はい、負けー」

 

「最初から!」

 

「しりとり」

 

「リンパ腺!」

 

「はい、負けー」

 

「ダメだ。全然言葉が出なくなっちゃった。普通に喋る分には平気なんだけど」

 

「てか、お前さあ」

 

「え?」

 

「ずっと、俺をバカにしてたよね?」

 

「え??」

 

「俺がしりとりで変な負け方してるのを、何の疑いもなく見て呆れてたよね?」

 

「いや、、、あの、、、」

 

「俺だってさすがにそんなバカじゃない。『ん』のつく言葉以外の単語だって山ほど知ってる」

 

「そ、、、そうだよね。そんなにバカじゃないよ」

 

「ううん、違う。あの時のお前は、完全に俺を『そういうやつ』として扱ってた」

 

「いや、、、」

 

「俺は言葉が出てこないって事を悟られないように、空気を悪くしないようにバカを演じていただけなのに」

 

「え、、、」

 

「戸惑いながらも、俺は必死に楽しんでるフリをしてた。言葉が出て来なくてもね。心配かけたくなかったから」

 

「そう、、、だっけ?」

 

「それなのにお前は俺の異変なんか、これっぽっちも気付いてくれなかった。それどころか『しりとりも出来ないやつ』として完全に上から見てた」

 

「いや、そんなつもりじゃ・・・・・」

 

「帽子、、、取ってみれば?多分言葉が出てくるよ」

 

「えっ、、、、」

 

「しりとり」

 

「りんご!」

 

「ほらね」

 

「あー!!よかったー!あぶねー!怖かったーー!」

 

「・・・もう帰るわ」

 

「いや、あの、、、ごめん」

 

「ううん、もういいわ。どうせ前々から気付いてたからさ。俺のことを下に見てるって、10年間ずっと思ってたことだから。いい機会だったよ。じゃあね」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

タモリ「人間の友情というのは固いようでモロいもの。まさか、しりとりがキッカケで長年続いた関係が壊れるとは思いもしなかったのではないでしょうか。

しかし、その長い年月。果たして2人の目線の高さが常に同じだったのかを考えると・・・遅かれ早かれ、別離の瞬間というのは訪れていたのかもしれませんな。

 

おや?こんなところに、帽子が落ちてますね。

私にも長い付き合いの友人というものがおりますので。久しぶりに、しりとりにでも興じてみようかと思います」

 

 

っていう、世にも奇妙な物語を思いついたんですけど。